脱 わかっているつもり


皆さんはワインを飲んで自分が感じた香りや味わいを明確に人に伝えることが出来ますか?

僕個人の考えですが、ワインを理解出来ているかの判断基準は、まずはこれが出来るかどうかです。

ワインの知識は正しく学べば簡単につきます。今の時代、誰もがインターネットを通して手軽に知識を得られるようになりました。

しかし、個人の発信するSNSやブログ、誰が書いたのかわからないようなまとめサイトなどでは多くの間違った誤知識・情報が出回り、それが間違いだとは知らずに信じた人達が次々と誤った情報や知識を拡めています。さらに、一般の方の中にはどんなに目の前で説明され現実が目の前にあるにも関わらず、それが正しくても間違っていても自分が信じたいどこかの記事を信じ込んでしまう人達が以外にも驚くほど多くいます。また、素人(ワイン関係者以外)のみではなく、僕のようにワインを取り扱う多くの店・ワインに従事している者ですら正しいと信じていた情報が違っていて悪気なくお客さんに伝えていることもあるだろうし、はたまたあまりにも軽率で理解度が低く正しいか間違いかも気にせずに誤った知識情報を拡めている場合もあるようです(飲食やワインに限らす全てに当てはまるとは思いますが)


さて、話を本題の「脱 わかっているつもり」に戻します。

自分の好きなワインが一本あるとします。そのワインの香りや味わいを自分の説明でそのワインを飲んだことのない人に[自分が香り味わい飲み感じたまま]をそのまま相手に伝える、もしくは出来るだけ相手が細部までイメージでき思い描かせることが出来ますか?

香りや味わいがはっきりと想像できるように伝えられるか。(語彙力や文章力は関係ありません。自分の感性も表現力も豊かすぎて、相手の感性が乏しく置き去りにしてしまい全く伝わらないのは別ですよ) 

この場合、生産者や畑・醸造などは情報でありワインの肉付け的要素で、より美味しく思わせたりワインに深みや付加価値を付けるもので直接の味わいのイメージには結びつきません。味わいのみで伝えることが出来るかどうか。これが最初の理解だと思っています。どんなに知識があっても香りや味わいが説明出来ない状態では知識は寧ろ余計な概念となるだけです。ますは「感じる」という感覚を身につけ養っていくことが第一歩ではないでしょうか?知識は味わいがわかった後の方が情報と結びつきすんなりと入っていくのではないでしょうか。

では、実際にやってみると意外に自分の言葉で伝えるのは難しいと実感するはずです。殆どの人が出来ないでしょう。取ってつけたような例えや言葉を無理やり引っ張り出し当てはめたり、しっかりや甘い、辛口やスッキリというのがせいぜいでしょう。ワインにおいて、それらの言葉は余りにも大雑把過ぎるために殆ど意味を成しません。どのように甘いのか?なぜスッキリ感じるのか?それらがわからないと相手は全く別のワインを思い浮かべてしまいます。煮詰めたジャムのような甘さなのか、ブドウらしい果物本来のジューシーな果実の甘みなのかでは、全く方向性が変わってきます。さらにジャムはジャムでも何のジャムなのか。なぜスッキリしているのか?酸があるからスッキリ感じるのか、甘みが少なく感じるからか?出来るだけ相手がどのようなワインなのかを思い描けるように、細かく細かく伝えていけること。

そして、伝えることが出来るというのは、しっかりと酸味や苦味、甘味などの要素を意識的に感じることが出来ている証拠です。殆どの人が一生このようなことを考えることは無いと思いますし、なかなか一朝一夕で出来ることではありませんが、皆さんも誰かと伝え合いをしてみてはいかがでしょうか。

ワインの説明を毛嫌いする人も多いようですが、実はうんちくではないのです。(僕の場合)


(番外)

自分がわかったつもりでいるとき実は以外にも近くにもっとわかっている人がいると常に思っています。英語やフランス(語)の話をひけらかすようにしていたら実はすぐそばに自分よりもペラペラだったり在住者がいたなど。

おせっかいや人前で無意味に多くを語る人よりも語らない人のほうがわかっているのも正解だと思います。実は隣の席の人の方がすごく詳しいかったなんてことはよくある光景です。




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