ロゼ
普通の人がワインを飲むと表面的な香りや味しか感じていないことが殆どです。ロゼは赤ワインや白ワインに比べ、香りや味わいの捉え方が難しいかもしれません。香りと余韻は感じ取り難く、わかりやすい要素は酸と苦味でしょう。そこに無意識に感じている肉厚(ボリューム)さと塩味が大部分を締めていると思います。ロゼを飲むときは味わいの感じにくさから表面的な印象や喉での味覚判断が多くなり、日本人であれば日本人の好みに偏りやすく、苦手なスタイルもまた偏っています。
日本人好みは肉厚で苦味を感じにくい、ロゼとしてはしっかりした飲みごたえのあるスタイルを好む方が多いです。また、それらがなくてもフルーツ的旨味が強いもの、味が感じ取りやすいものを非常に好みます。苦手なスタイルはハーブ・苦味を感じ旨味要素が表に現れていないもの。飲んだときに、より味を感じにくいスタイルです。
Ragoûtでは多いときは8〜10種程のロゼを揃えています。バランスよく揃えていますが南フランスのロゼなので半分くらいはハーブ感があります。なので苦手な方も多いかもしれませんね。でも、お店の料理との相性は抜群です。ロゼと料理の相性というのは日常に溶け込むように自然であり、ワインも料理も主張しすぎずに空気のように意識することなく飲み食べを繰り返し気がついたらワインも料理も無くなってしまっているようなある種の無感性さであると。僕はそんな風に思います。そして、意図的に相乗効果を狙っている巷にありふれたマリアージュ・ペアリングは多くの場合で調味料が介入してしまうことがあり自然体とは言えません。
赤白同様にロゼも温度により印象や味わいが変わります。特に南仏のロゼは、冷えてドライな状態から温度が上がることにより、円みと厚みが果肉感を引き出し、ハーブや苦味が全体をダレさせることなく、しかし決して引き締め過ぎはせず、なんとも言えない絶妙な《たるんとふっくら》した心地良さが余韻まで長く続くのが至福で、休日の昼過ぎに是非おすすめします。赤以外は全てキンキンに冷やすものと思っている方は新しい味わい方を感じてみてください。(僕はむしろ赤を冷やす派なんですけど)
一見ロゼは香りも味わいも感じ難く直感的判断による好みで飲みがちですが、中に潜む香りを探し、よーく味わい味の構成を知ることにより、もしかしたら今まで感じなかった知らなかったロゼを発見出来るかもしれませんし、酸や苦味の理解も深まるはずでしょう。
ロゼは赤ワインや白ワインに比べ、香りや味わいの捉え方が難しいかもしれません。しかし、最も気軽で楽しみ方を選ばない自由なワインでもあります。カジュアルにただ楽しみたい方(場合)から通の方まであらゆる人達を満足させてくれるでしょう。
(近年は現代的なワインの旨味を強く感じるロゼも急激に増えてきた印象があるので、そのようなワインの感じとり方はまた少し違う話になりますが)
コメント
コメントを投稿